ベンディング金型編
1-6)金型の選択について
「1-5)曲げの特徴について」までは、金型選定の準備を記載してきましたが、今回より実務的な金型の選定方法に入ります。
このページでは「V曲げ」と「R曲げ」を採り上げます。
これらの曲げ方法は、「標準加工手順」と位置付けられており、カタログ掲載の標準金型の大半を占めています。
金型を選ぶ手順
金型を選ぶ際は、完成図面、展開図面を確認し、総合的な判断が必要とされます。
その為には、必要条件を全て満たしているかを、手順を踏んで確認し、適切な金型を選ぶ事が重要です。
「曲がりが甘く角度が出ない」、「精度が悪い」等の現象が出た場合は、下記の内容を省略した場合に多くみられます。
下記項目を確認して総合的に判断します
- 1.機械スペック
- 2.V幅を決定
- 3.金型の組み合わせ
- 4.曲げ順
- 5.所要圧力(耐圧)
図面からの読み取り
図面から下記表の内容を読み取って金型を選びます。
確認項目 | 確認内容 |
材質 (SPCC・SUS・AL) |
耐圧トン数・金型先端角度(対スプリングバック) |
板厚 | V溝幅の選定・必要曲げトン数に対し、金型の耐圧トン数 |
曲げ長さ | 耐圧トン数・機械テーブルの長さ側板との距離及び深さ |
内R | コイニング(内R0.8t~) エアーベンディング(一般的な曲げ)(内R1t~2.8t) R曲げ(内R2.8t異常) |
図面から詳細の読み取り
上記で基本的な金型は選べますが、「複雑な曲げ」、「多箇所曲げ」等、シミュレーションが欠かせない金型の選定が必要な場合もあります。
以下をご参照ください。
上記項目と合わせて
- 6.使用する機械を選定
- 7.金型仕様
- 8.作業条件を決定
確認項目 | 確認内容 |
曲げ長さ・高さ | 最少長さ=V幅×0.7 テーブル長さ、フランジ長さ・側板の距離 |
Z曲げ寸法 | V溝の深さ 1工程目、曲げ高さ(板厚段差)、段差曲げ仕様金型 |
垂れ下がり寸法 | ダイ全長 |
筐体曲げ | パンチ全長 |
バーリング等の成形箇所 | 金型の干渉 |
圧力曲げ | 金型の仕様 |
筐体曲げ・幅寸法 | 分割金型の長さ |
曲げ部付近の穴位置 | 変形注意 |
横幅寸法・重量 | 曲げ加工を行う人数、製品の置場 |
精度 | 曲げ順序の確認 |
表面の状態(キズ無しの表面) | 擦りキズ防止対策(ダイ肩R・メッキ処理等) |
金型を選ぶ際には、ダイの有無を再確認!
意外とパンチに目が行き、ダイを忘れる場合が多い。
ダイは製品へのキズ、たわみ等、加工材への影響が大きい為、確認は慎重に行いましょう。
作業前にしっかり確認し、
安全に高品質な曲げ加工を行いましょう。