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テクニカルガイド

ベンディング金型編

1-4)曲げ加工の準備について②(金型耐圧表記の見方)

ベンディング金型編

1-4)曲げ加工の準備について②(金型耐圧表記の見方)

金型は製品の材質、板厚、長さを中心に金型の高さ、内Rの大きさ、干渉等を考慮して選定します。
その為には、金型に表示されている加工能力、限界等を理解することが必要となります。

ベンディング金型の表示について

基本的に金型には以下の情報が表示されています。
各メーカーにより表示方法が変わりますので、ご注意ください。

下の金型写真はパンチに表示されている刻印事例です。
ダイにはこの他にV幅等の情報も表示されています。

必ずチェックしましょう。

パンチの表示例

パンチの表示例

(例)上記金型の場合の耐圧表記・・・MAX:1000 kN/m (100 ton/m)

※プレスブレーキは折り曲げる線上に加工するので、面圧ではなく、線圧で表示してあります。

耐圧表記の換算について

*m=メートル *kN=キロニュートン *ton=トンを意味しており、「1mあたり」の耐圧を示しています。

上記の例を各単位換算すると、
1kN≒0.102tonで換算するので、1000kN≒100tonとなります。

つまりこの金型は1mあたりかけてよい力は最大1000kN又は≒100tonまでとなります。

尚、金型により「フィート」と表示されている場合があります。 

必要トン数

ベンディングマシンによる曲げ作業を行う際、必要トン数を知ることは非常に重要です。

カタログなどに圧力表として掲載してありますが、ここでは基礎知識として計算式について考えてみましょう。

圧力表のデータは以下の公式を用いて、ボトミング加工、SPCCを曲げた場合の数値です。

V曲げ圧力計算式

公式①
× × t 2 × σb
  • :V曲げに必要なトン数(ton/m)
  • :補正係数≒1.5
    (V/tにより変わっていくため参考値とする)
  • :V幅(mm)
  • :曲げ長さ(m)
  • :板厚(mm)
  • σb:抗張力(Kgf/mm2)≒45
    (JIS規格「SS41」を使用の場合。材質により変化します)
注意

「補正係数」は主に、V×8t=1.33~V×4t=1.57となりますが、
他の資料によっては15%程の誤差が生じています。

尚、簡略化した下記公式②でも1mあたりの必要トン数は求められます。

公式②

実験値から求められた公式として、1m当たりの必要トン数は以下の式でも求められます。

P=68×板厚×板厚÷V幅(SS材用)

P=68×板厚×板厚÷V幅(SS材用)

上記の式の「68」とは「補正係数×抗張力」であり、
安全を考慮し最大係数をかけている為、大きな値となっています。
材質、板厚が変わった場合は、その値も変化します。

現在はSPC系の材料加工時は圧力表をそのまま利用し、
それ以外の材質は圧力表を利用し下記の関係を考慮して決定することになります。

圧力表以外の材質、板厚を計算する際には、以下4つの関係を考慮しましょう。

  • 1)圧力はV幅に反比例する。
  • 2)圧力は曲げ長さに比例する。
  • 3)圧力は板厚の2乗に比例する。
  • 4)圧力は抗張力に比例する。
例題:SUS T=1.5mm L=2m 抗張力=60の場合の圧力は?
  • V幅選定は公式((1-3)曲げ加工の準備についてのV幅選定の表を参照)から0.5~2.6mmまでの板厚は6×tで求められます。
    6×1.5=9となり、9mm幅は標準V幅では無い為、圧力表から10mm幅を選択(大きな値を選択する)します。
  • 板厚1.5mmも圧力表にない為、近い1.6mmを選択します。
    圧力表よりP=17tonとする。
    これをベースとして下記の計算式で必要トン数を出します。
回答

17 × 1.5 1.6 2 × 60 45 × 2 40ton となります。(SUSは端数を切り上げる事)

この答えにより、
「圧力は板厚の2乗に比例する」、「圧力は抗張力に比例する」ことが理解できます。

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