ベンディング金型編
1-16)曲げ加工時のキズ対策について
曲げ加工時に発生するキズは、製品の出来栄えを大きく左右します。
特にステンレス、アルミ、塩ビ鋼板、カラー鋼板といった材料は、一般的にキズがNGとなる製品が多く、キズ対策は重要な課題となります。
今回は曲げ加工時に発生するキズの種類や対策についてまとめました。
曲げキズ例(すべりキズ)
曲げキズの種類には大きく三種類に分けられます。
① すべりキズ
V曲げで最も発生するキズでダイの中にワークを押し込む際に、
ダイの肩部でワークが 擦れて発生するキズ。
② つなぎ目キズ
金型を連結した際のつなぎ目に段差や隙間がある事で発生するキズ。
③ しごきキズ
パンチでワークをしごきながら加工を行う際に発生するキズ。
(ハット曲げやU曲げで発生)
今回はV曲げ加工時のキズで最も多い、「① すべりキズ」について対策を考えます。
すべりキズ対策
- ■ダイ肩Rを大きくすることで、キズが軽減します。
- ■ダイ肩部に油を塗布し、すべり抵抗を抑えることでキズが軽減します。
- ■ダイ肩R部にクロームメッキ等の処理を施し、すべりをよくする事でキズが軽減します。
- ■材料の対策として保護ビニールを貼ることで、キズが軽減します。
但し、V幅及び肩Rの大きさにより、
ビニールを破って材料自体にキズを付ける場合がありますので、ご注意ください。
保護ビニールを貼り、曲げた例
上記の「すべりキズ」対策でも解消されない場合は、
キズ対策商品を利用すると更に高い効果があります。
次頁にてキズ対策に特化した商品をご紹介します。
キズ対策商品
特殊シート
ダイ上面に貼り付けて使用する特殊素材のシートで、キズを軽減します。
特殊シートのメリットとして、
準備が簡単
シートをダイに乗せてテープで留めるだけと、事前準備が素早くできます。
安価
金型の改造や専用型の購入よりも安価な為、コストを低く抑えられます。
キズ防止効果
シートが劣化したり、破れない限りキズ防止に高い効果が持続します。
特殊シートの素材は化学繊維製の物や樹脂製の物があります。
特殊シート例:キズノンシート
キズ対策金型
専用型を使用することで、すべりキズが軽減します。
例として、ダイ肩部がウイング方式で開閉することで、肩キズが軽減できる専用金型があります。
- ■1種類の金型で、幅広い板厚に対応
- ■高精度な鈍角曲げやR曲げが可能
アルミを曲げた際のキズ比較
穴をあけて曲げても穴変形が少ない
今回ご紹介した金型詳細はお気軽にお問い合わせください。