パンチング金型編 基礎編
1-8)被加工材の材質について(非鉄編)
アルミニウム・アルミニウム合金
アルミニウム・アルミニウム合金は軽量で錆びにくいため、照明器具、電気器具、建築用材、各種容器、装飾品、航空機用材等いろいろな分野で様々な用途に使用されています。
A 5052 P - H12
A 5025 P - H12
A:アルミニウム及びアルミニウム合金を表す記号
5052:合金番号
P:形状記号(P:板/BD:引抜棒/BE:押出棒/W:引抜線 等)
H12:質別記号(F:製造のままのもの/O:焼なまししたもの/H:加工硬化したもの 等)
※質別記号は細分化されています。詳しくはJISハンドブックをご覧下さい。
アルミニウム及びアルミニウム合金
記号 | 質別 | 引張強さ(N/mm2) | 伸び(%) | 特性及び用途例 |
A1050P | ○ | 60~100 | 15~30 以上 | 純アルミのため強度は低いが、成形性、耐食性が良い。反射板、照明器具、装飾品など。 |
H12 | 80~120 | 2~9 以上 | ||
A1100P | ○ | 75~110 | 15~30 以上 | 強度は比較的低いが、成形性、溶接性耐食性が良い。建築用材、電気器具、各種容器など。 |
H12 | 95~125 | 2~9 以上 | ||
A2014P | ○ | 215 以下 | 10~16 以上 | 強度が高い熱処理合金。航空機用材、各種構造材など。 |
T4 | 410 以上 | 14 以上 | ||
A2017P | ○ | 215 以下 | 12 以上 | 熱処理合金で強度が高く、切削加工性もよい。航空機用材、各種構造材など。 |
T4 | 355 以上 | 12~17 以上 | ||
A3003P | ○ | 95~125 | 18~25 以上 | 1100より若干強度が高く、成形性、溶接性、耐食性もよい。 |
H12 | 120~155 | 2~9 以上 | ||
A5052P | ○ | 175~215 | 14~20 以上 | 中程度の強度をもった代表的な合金。 |
H12 | 215~265 | 3~11 以上 | ||
A6061P | ○ | 145 以下 | 14~18 以上 | 耐食性が良好で、主にボルト・リベット接合の構造用材として用いられる。 |
T6 | 295 以上 | 8~10 以上 | ||
A7075P | ○ | 275 以下 | 10 以上 | アルミニウム合金中最高の強度をもつ合金の一つ。 |
T6 | 530 以上 | 7~8 以上 |
<参考> 1N/mm2≒ 0.102kgf/mm2 (SPCCの引張強さ 270以上N/mm2)
記号 | 質別 | 引張強さ(N/mm2) | 伸び(%) |
A1050P | ○ | 60~100 | 15~30 以上 |
H12 | 80~120 | 2~9 以上 | |
純アルミのため強度は低いが、成形性、耐食性が良い。反射板、照明器具、装飾品など。 | |||
A1100P | ○ | 75~110 | 15~30 以上 |
H12 | 95~125 | 2~9 以上 | |
強度は比較的低いが、成形性、溶接性耐食性が良い。建築用材、電気器具、各種容器など。 | |||
A2014P | ○ | 215 以下 | 10~16 以上 |
T4 | 410 以上 | 14 以上 | |
強度が高い熱処理合金。航空機用材、各種構造材など。 | |||
A2017P | ○ | 215 以下 | 12 以上 |
T4 | 355 以上 | 12~17 以上 | |
熱処理合金で強度が高く、切削加工性もよい。航空機用材、各種構造材など。 | |||
A3003P | ○ | 95~125 | 18~25 以上 |
H12 | 120~155 | 2~9 以上 | |
1100より若干強度が高く、成形性、溶接性、耐食性もよい。 | |||
A5052P | ○ | 175~215 | 14~20 以上 |
H12 | 215~265 | 3~11 以上 | |
中程度の強度をもった代表的な合金。 | |||
A6061P | ○ | 145 以下 | 14~18 以上 |
T6 | 295 以上 | 8~10 以上 | |
耐食性が良好で、主にボルト・リベット接合の構造用材として用いられる。 | |||
A7075P | ○ | 275 以下 | 10 以上 |
T6 | 530 以上 | 7~8 以上 | |
アルミニウム合金中最高の強度をもつ合金の一つ。 |
<参考>
1N/mm2≒ 0.102kgf/mm2
(SPCCの引張強さ 270以上N/mm2)
ワンポイントアドバイス
アルミは比較的加工性の良い材料ですが、やわらかい為に抜き加工時にガイド等のマ-クがワ-クについたり、バリが発生しやすい等の問題も発生します。
ワ-クを押さえる力(スプリングの強さ)を弱くしたり、クリアランスを小さくする等の調整が必要な場合もあります。
銅及び銅合金
銅・銅合金は電気・熱伝導率が良く、光沢も美しいため、電気器具、配線器具、建築用具、装飾品等に使用されています。
C 1100 P - 1/2H
C 1100 P - 1/2H
C:銅及び銅合金を表す記号
1100:合金番号
P:形状記号(P:板/T:管/W:線/R:条/B:棒 等)
1/2H:質別記号(F:製造のままのもの/O:完全に再結晶したもの又は焼なまししたもの/SH:引張強さが最大になるように加工硬化したもの 等)
※質別記号は細分化されています。詳しくはJISハンドブックをご覧下さい。
主な銅・銅合金機械的性質(JIS H3100 H3110 H3130:1992より抜粋)
名称 | 記号 | 質別 | 引張強さ( N/mm2) | 伸び(%) | 特性及び用途例 |
タフピッチ銅 | C1100P | ○ | 195 以上 | 35 以上 | 電気・熱の伝導性に優れ、展延性・絞り加工性・耐食性がよい。 |
1/2H | 245~315 | 15 以上 | |||
丹銅 | C2200P | ○ | 225 以上 | 35 以上 | 色沢が美しく、展延性・絞り加工性・耐食性がよい。 |
1/2H | 285~365 | 20 以上 | |||
黄銅 | C2600P | ○ | 275 以上 | 40~50 以上 | 展延性・深絞り加工性に優れ、めっき性がよい。 |
1/2H | 335~440 | 28 以上 | |||
C2680P | ○ | 275 以上 | 40~50 以上 | 展延性・絞り加工性・めっき性がよい。 | |
1/2H | 355~440 | 28 以上 | |||
快削黄銅 | C3560P | 1/4H | 345~430 | 18 以上 | 特に被削性に優れ、打抜性もよい。時計部品、歯車など。 |
H | 420 以上 | ― | |||
C3710P | 1/4H | 375~460 | 20 以上 | 特に打抜性に優れ、被削性もよい。時計部品、歯車など。 | |
H | 470 以上 | ― | |||
りん青銅 | C5111P | ○ | 295 以上 | 38 以上 | 展延性・耐疲労性・耐食性がよい。スイッチ、リ-ドフレ-ム、コネクタなど。 |
1/2H | 410~510 | 12 以上 | |||
白銅 | C7060P | F | 275 以上 | 30 以上 | 耐食性、特に耐海水性がよく、比較的高温の使用に適する。 |
洋白 | C7351P | ○ | 325 以上 | 20 以上 | 光沢が美しく、展延性・耐疲労性・耐食性がよい。 |
1/2H | 390~510 | 5 以上 | |||
ばね用 ベリリウム銅 |
C1720P | ○ | 410~540 | 35 以上 | 耐食性がよい。高性能ばね、電気機器用ばねなど。 |
1/2H | 590~695 | 5 以上 | |||
ばね用 りん青銅 |
C5210P | 1/2H | 470~610 | 27 以上 | 展延性・耐疲労性・耐食性がよい。 |
EH | 685~785 | 11 以上 |
<参考> 1N/mm2≒ 0.102kgf/mm2 (SPCCの引張強さ 270以上N/mm2)
名称 | 記号 | 質別 | 引張強さ( N/mm2) | 伸び(%) |
タフピッチ銅 | C1100P | ○ | 195 以上 | 35 以上 |
1/2H | 245~315 | 15 以上 | ||
電気・熱の伝導性に優れ、展延性・絞り加工性・耐食性がよい。 | ||||
丹銅 | C2200P | ○ | 225 以上 | 35 以上 |
1/2H | 285~365 | 20 以上 | ||
色沢が美しく、展延性・絞り加工性・耐食性がよい。 | ||||
黄銅 | C2600P | ○ | 275 以上 | 40~50 以上 |
1/2H | 335~440 | 28 以上 | ||
展延性・深絞り加工性に優れ、めっき性がよい。 | ||||
C2680P | ○ | 275 以上 | 40~50 以上 | |
1/2H | 355~440 | 28 以上 | ||
展延性・絞り加工性・めっき性がよい。 | ||||
快削黄銅 | C3560P | 1/4H | 345~430 | 18 以上 |
H | 420 以上 | ― | ||
特に被削性に優れ、打抜性もよい。時計部品、歯車など。 | ||||
C3710P | 1/4H | 375~460 | 20 以上 | |
H | 470 以上 | ― | ||
特に打抜性に優れ、被削性もよい。時計部品、歯車など。 | ||||
りん青銅 | C5111P | ○ | 295 以上 | 38 以上 |
1/2H | 410~510 | 12 以上 | ||
展延性・耐疲労性・耐食性がよい。スイッチ、リ-ドフレ-ム、コネクタなど。 | ||||
白銅 | C7060P | F | 275 以上 | 30 以上 |
耐食性、特に耐海水性がよく、比較的高温の使用に適する。 | ||||
洋白 | C7351P | ○ | 325 以上 | 20 以上 |
1/2H | 390~510 | 5 以上 | ||
光沢が美しく、展延性・耐疲労性・耐食性がよい。 | ||||
ばね用 ベリリウム銅 |
C1720P | ○ | 410~540 | 35 以上 |
1/2H | 590~695 | 5 以上 | ||
耐食性がよい。高性能ばね、電気機器用ばねなど。 | ||||
ばね用 りん青銅 |
C5210P | 1/2H | 470~610 | 27 以上 |
EH | 685~785 | 11 以上 | ||
展延性・耐疲労性・耐食性がよい。 |
<参考> 1N/mm2≒ 0.102kgf/mm2 (SPCCの引張強さ 270以上N/mm2)
ワンポイントアドバイス
銅及び銅合金の種類(特性)・使用用途は様々です。ワ-ク本来の特性を理解し、金型・加工条件(クリアランスなど)の選定を行って下さい。
(引用文献 JISハンドブック 鉄鋼:日本規格協会)