パンチング金型編 基礎編
1-1)タレットパンチプレス機とは
タレットパンチプレス(パンチプレス)とは、
多数個の金型が装着可能な円盤状・扇状のタレットと、ワーク(被加工材)を保持・移動するテーブル、クランプ等をNC制御し、
ワークの所定の位置に抜き加工・成形加工を行うプレス機です。
タレットパンチプレス機の主な部分の名称と機能
1.上タレット/下タレット
金型を装着・保持する部分。
多数個の金型が装着可能で、それらの金型はNC制御にてタレットが回転移動し選択される。
上下タレットの芯ズレは、製品不良・金型破損に繋がります。
定期的に芯出し治具等でメンテナンスを行うことをお勧めします。
2.ストライカー
クランクまたは油圧の力で上下し、プレスの駆動力を金型に伝達するスライド部。
上下移動でパンチ(上型)を下方に押し下げます。
3.クランプ
ワークを保持する部分。
NC制御にて所定の位置にある金型の場所へワークを移動させます。
(エアー圧式と油圧式があります)
4.タレットキー
角形状金型の回転方向の位置決めを行う。
タレットキーの摩耗は金型の芯ズレ、位相ズレに繋がり、加工不良や金型破損の原因となる場合があります。
メンテナンスは定期的に行うことをお勧めします。
5.リフター
上型を保持し、加工後は所定の位置まで持ち上げる部分。
6.ダイホルダー
下タレットにダイ(下型)を装着する部分。
ダイホルダー内には、抜きバリ・抜きカス等の異物が混入することがあります。
異物の混入は金型の装着不良に繋がり、金型破損の原因にもなります。
ダイ装着時には清掃を行うようにして下さい。
また、使用していないホルダーにはブラシダイ・ローラーダイ等を装着することによって、
異物の混入を防ぐと共にワーク裏面の傷を防止することも出来ます。
タレットパンチプレス機の主な特徴
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一品一様のプレス型と異なり、タレット内に装着された金型およびワークの加工位置をプログラムによって制御し、
任意の位置に任意の金型で加工出来ます。
そのため異なる製品も段取り替え不要、または短時間で加工を行うことが出来ます。 -
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製品が異なっても抜き形状・成形形状が同じなら金型を共通で使用出来るため、
型費が削減にも繋がります。 - ・ 自動材料供給、取り出し装置、金型自動交換装置等と組み合わせて多品種少量生産も可能です。
タレットパンチプレス機には大きく分けて次の3種類の機構があります。
機械プレス機(クランクプレス等)
フライホイールの回転力をクランク軸およびクランクを介して上下運動に変え、ストライカーを作動させる方式。
(図1参照)
図1.クランク機構のメカニズム
油圧プレス機
油圧ポンプ・シリンダにてピストンを上下に動かし、ストライカーを作動させる方式。
(図2参照)
油圧プレスの特徴
- ①ストライカーの下死点位置をプログラム上で任意に設定出来る。
- ②ストライカーの上死点位置もプログラム上で設定出来、短いストロークで高速加工が出来る。
- ③機械プレスと比較して騒音が少ない。
図2.油圧機構のメカニズム
サーボプレス機
サーボモータの回転運動をリンク機構と組合せて往復運動に変え、ストライカーを作動させる方式。
サーボモータをエキセンシャフト(偏芯部を持つ軸)に直結させて、ストライカーを作動させる方式もあります。
(図3参照)
サーボプレスの特徴
- ①ストライカーの下死点位置をプログラム上で任意に設定出来る。
- ②ストライカーの上死点位置もプログラム上で設定出来、短いストロークで高速加工が出来る。
- ③機械プレスと比較して騒音が少ない。
図3.サーボプレスのメカニズム