パンチング金型編 実践編
2-9)パンチのシャー角について
- シャー角はパンチ刃先端面を 「凸状」 又は 「凹状」 に加工したもので、
- 1)抜き荷重の低減
- 2)カス上がり防止
- 3)消音
- などに効果があります。
代表的なシャー角の形状には下記のようなものがあります。
ルーフシャー角
Rシャー角
逆シャー角
クロスシャー角
Rクロスシャー角
シャー角なし
ルーフシャー角
- 1) 最も一般的なシャー角です
- 2) シャー角の角度は当社では2°及び5°を標準としております
- 3)お客様での再研磨が比較的容易に行えます
Rシャー角・逆シャー角
- 1) 追抜き加工に適したシャー角です
-
2) 抜き加工時刃先に外向きに力がかかるため(図2参照)、幅の狭いパンチで厚板を加工した場合に、底部より割れが発生する場合があります
特にウレタンキッカー付きの場合には、早期に破損する場合があります - 3)お客様でのR部の再研磨は困難です
図2. パンチ刃先にかかる力の方向
ルーフシャー角の場合
Rシャー角の場合
クロスシャー角・Rクロスシャー角
X方向・Y方向共に加工する正角の追抜き加工に適したシャー角です。
シャー角なし
-
1) 一般的に小口径のパンチは抜き荷重が小さいため、シャー角を付けません
但し、厚板を加工する場合やカス上り防止対策として付ける場合があります - 2) ブランク型(抜きカスが製品となる場合)にはブランクが変形する為、シャー角を付けません
ワンポイントアドバイス
シャー角を付けた場合の抜き荷重は、
シャー角を付けた場合の抜き荷重(目安) = シャー角なしの場合の抜き荷重 × シャー角係数
板厚がシャー角高さより薄い場合
シャー角係数 = 0.5
板厚がシャー角高さより厚い場合
シャー角係数 = 1- 0.5 ×(シャー角高さ / 板厚)