パンチング金型編 実践編
2-2)金型の寿命対策
NCタレットパンチプレス機による抜き加工において、
金型寿命は生産性・コストに大きな影響を与えます。
この章はこの金型寿命対策として、
スーパードライパンチをはじめとするいくつかの対策をまとめました。
スーパードライパンチ
スーパードライパンチは、プレス加工油を使用しないドライ加工に対応。
ステンレス等の難加工材に抜群の効果を発揮します。
表面の「超硬質被膜(Hv2,500~3,000)」とパンチ母材への「浸透層」とのW効果で優れた耐久性を実現。
TiN(黄金色)やTiCN(灰紫色)といった従来のコーティングパンチで
ステンレスを加工した場合に発生する「被膜が剥がれる」欠点を解消しました。
従来のコーティング
スーパードライパンチ
スーパードライパンチは、従来のどんなコーティングパンチよりも耐久性試験では長寿命を実現しました。
また、オイル潤滑パンチよりも好結果が出ています。
その「常識外」の耐久性をご確認下さい。(図1)
コーティング処理について
種類 | 特徴 |
タフコート |
厳選されたハイス鋼に塩浴窒化処理(表面硬さHv900~1,100)を行います。 万能タイプです。浸透タイプ(深さ~50μ)のため、被膜の剥離が生じにくい。 |
TiNコーティング |
厳選されたハイス鋼にTiN処理(表面硬さHv2,000~2,500)を行います。 SPCC材の加工に効果があります。 |
CrNコーティング |
厳選されたハイス鋼にCrN処理(表面硬さHv1,700~2,100)を行います。 アルミニュウム材の加工に効果が高い。 |
追抜き(ニブリング)加工時の寿命対策
ヒール付金型
刃先に固定ヒ-ル部を設け、パンチがワークに当たる前にヒール部がダイの中に入り、
抜き時のパンチのズレを防止した金型。
図2) 追い抜き方向に制限があります。
この他にも刃先に可動ヒ-ル部を設け追い抜き方向の制限を少なくしたシャープルーフ金型もあります。
(図2) ヒール付金型
小口径パンチの寿命対策
効刃先長さを短くし刃先の強度を増し、
折れ難くした
・ナロータイプ
・オープンエンド方式
・超ナロータイプ
等のパンチ仕様があります。
左から 標準・ナロータイプ
オープンエンド方式・超ナロータイプ
厚板加工時の寿命対策
エキストラバックテーパー金型
刃パンチ刃先にテーパー逃げを設け、ワークとの接触を減らし、
焼付きを少なくした金型。(図3)
(図3) エキストラバックテーパー金型
その他の寿命対策
- 1)タレットの芯ズレ、タレットキー等の摩耗のチェック
- 2)カス上がり対策金型との併用
- 3)早期の再研磨の実施
- 4)刃先角部にRを付ける
金型の寿命対策は、ワークの材質・板厚等の加工条件に合った金型の選定を行う事をお勧めします。