いちばん上に戻る

コニックのDXの取り組み

コニックのDXの取り組み

公表日:2025年10月1日 / 改訂日:2025年10月1日

現場から、未来をつくる。
コニックのDXの取り組み。

このページでは、コニックが取り組んでいるDX(デジタルトランスフォーメーション)の全体像をご紹介します。

製造・設計・営業など各部門での取り組みや、DXを支える人材育成、セキュリティへの取り組みなどを通じて、「これからのコニック」がどこに向かっているのかをお伝えします。

代表者の想い

“ものづくり”の未来へ向かって、一歩ずつ。

当社は、長年培ってきた技術力と一貫生産体制を基盤に、金型の製造・販売を通じて多くのお客様のものづくりを支えてまいりました。

いま、製造業はIoT・AI・クラウドなどデジタル技術の進化により、大きな転換期を迎えています。

短納期・高品質はもちろん、開発スピードやコスト競争力の強化など、より多様なニーズへの対応が求められています。

当社はこうした変化に対応するため、DXを「変化に適応し、成長を続けるための経営改革」と位置づけ、全社一丸となって取り組んでいます。

営業・設計・製造の各部門をデジタルでつなぎ、品質の安定化と業務効率の向上を図るとともに、お客様への迅速かつ的確な提案を実現します。

さらに、熟練技術者の知識や経験をデジタル化・蓄積することで、若手技術者の早期育成とノウハウ継承を推進します。

これらの取組を通じて、持続的な成長と新たな価値創造を実現し、 お客様の期待を超えるものづくりのパートナーとして未来へ歩み続けます。

2025年10月1日
株式会社コニック
代表取締役社長 大川 雅子

経営ビジョンとDX戦略

コニックでは、製造業を取り巻く環境の変化に対応しながら、より良いものづくりを目指すために、全社的なDX戦略を進めています。

このセクションでは、私たちが描く経営ビジョンとDX戦略の柱についてご紹介します。

1. DX推進の背景

製造業を取り巻く環境は、急速な人手不足や技術継承の難しさ、デジタル化に伴う顧客のニーズの多様化および短納期化への対応など、従来のやり方では乗り越えられない課題を抱えています。

また、技術継承と既存技術の活用も人手不足や新たな付加価値の創造に対応していくためには必須の課題であると認識しています。

コニックでは、こうした課題に正面から向き合い、「現場をより働きやすく」「顧客により高品質な製品を届ける」ためにはDXの推進が不可欠と考えDXを推進しています。

デジタルの力で現場を補うのではなく、現場の知恵とデジタルの融合こそが、私たちが目指すDXのあり方です。

2. 経営ビジョンとDXの方向性

デジタルと技術力を融合し、
顧客のものづくりを加速するパートナー企業へ

設計・製造・営業の各部門でDXを推進し、納期短縮・提案力の強化・品質向上を実現することで、より高い付加価値を顧客へ提供する。これらの取り組みを通じて、顧客とともに発展し続ける企業を目指します。

経営ビジョンの実現に向けて、「デジタルと技術力の融合によるものづくり支援」を軸に、強みである営業から受注・設計・製造・出荷までの一貫生産体制を活かして、設計・製造・営業の各プロセスをデータでつなぐ“データ駆動型ものづくりモデル”への転換を進めます。

IoTによる設備稼働の可視化や、熟練者ノウハウのデジタル化により、技術継承と工程最適化を両立。

さらに、顧客データを活用した提案型営業を展開し、「金型を作る会社」から「ものづくりを支援するパートナー企業」へと発展させることで、顧客取引の拡大と利益率の向上を目指します。

3. DX戦略の取り組み概要

経営ビジョンの実現に向けたDX戦略の取り組みの柱は、「製造部門のDX」、「営業部門のDX」、「設計部門のDX」の3つです。

1. 製造部門のDX

機械の稼働状況や生産の進み具合をリアルタイムで見える化します。

ダッシュボードで工程を把握し、ムダを減らして生産効率を高めます。さらに、AIを活用して設備トラブルや不良の発生を未然に防ぎ、安定した生産体制をつくります。

2. 営業部門のDX

顧客情報や販売データをまとめて管理できる営業データベースを整備します。

社内での情報共有をスムーズにし、データ分析やAIの活用により、顧客に合わせた最適な提案を行える営業体制をつくります。

3. 設計部門のDX

設計部門では、まずCADデータや図面データをまとめて管理し、必要な情報をすぐに見つけられる環境を整えます。次に、過去の設計事例やノウハウを「ナレッジ」として蓄積し、教育や設計改善に活かします。これにより、作業の属人化を防ぎ、教育効率を高めます。将来的には、蓄積した設計データをAIに学習させ、設計時に自動提案ができる仕組みを整え、開発リードタイムや設計工数の削減を目指します。

DX推進の推進体制と人材育成

推進体制

社⾧を総責任者とし、DX推進部署として企画部が音頭をとり、各部が連携して実施を行います。
また、外部機関として独立行政法人中小企業基盤整備機構、コンサルタントのアドバイスを適宜受けながら推進していきます。

体制図(組織図)

DX組織体制
クリックで画像拡大
DX組織体制

人材育成

当社は、全社員のデジタル活用力を高めるとともに、DXを推進できる中核人材の育成を進めます。
これにより、現場起点でのDX推進改善活動を推進し、DX戦略の実現を目指します。

1. 基礎教育(全社員対象)
  • デジタルリテラシー研修を実施し、ITツール活用やデータ管理の基本を習得
  • 紙での業務運用をデジタル化する取り組みを通じて、社員一人ひとりの意識改革を図る
2. 現場リーダー育成
  • 営業・設計・製造部門のリーダー層を対象に、IoT機器による現場データ収集、データ分析の研修を実施する
  • ペーパーレス化や見える化ツール導入などの小規模改善プロジェクトを通じて、OJTによる実践力を強化する
3. DX推進担当者育成
  • 社員にBIツールやデータベース構築などの外部セミナー・研修を受講させ、より高度なスキルの習得を支援する
  • 外部メンターによる伴走支援を活用し、実務を通じてデジタル化推進の実践力を高める

各部門のDXの取り組み

1. .製造部門

現場の今を、見える化で未来へつなぐ。

現場で働くすべての人が、“今”を知り、“次”の行動ができる。
データが、チームを強くします。

現状の課題とDX導入背景

製造現場では、人手不足やベテラン作業者の高齢化により、技術継承が大きな課題となっています。

さらに、作業の進捗や工程の不明確さに加え、仕事量や機械稼働率の可視化・データ活用も十分に進んでいません。
加えて、依然として紙ベースでの管理が主流であり、デジタル化の推進を妨げる要因となっています。

これらの課題を解決し、データドリブンなものづくりを実現することが、当社の重要な取り組みです。

DX戦略の具体的な取り組み

短期計画
↓
作業指示書のデジタル化
施策

作業指示書や図面など紙で運用していた情報をデジタル化し、各機械にタブレットを設置してペーパーレス化を進めます。

作業指示内容の修正や変更をリアルタイムで共有できる仕組みを整備することで、情報伝達の迅速化と更新ミスの防止を図り、生産現場全体の効率向上を実現します。

システム導入
  • 各機械へのタブレット端末の設置
  • 電子作業指示システムの導入
指標

紙使用率削減 / 指示反映時間短縮率

加工進捗状況の見える化
施策

各工程の加工開始・完了情報をデジタルで記録・管理する仕組みを構築します。

各作業者がタブレット端末から進捗を登録するとともに、これまで紙で運用していた作業日報を電子化し、作業開始・完了時刻、実績数量、不良内容などを自動的に記録・蓄積します。

これにより、工程ごとの作業状況や生産実績をリアルタイムで把握できるようにし、管理者や他部門が即時に状況を共有できる体制を整えます。

蓄積したデータを活用して工程の進捗を的確に管理することで、納期遵守率の向上と安定した納期管理の実現を図ります。

システム導入
  • 加工進捗管理システム(作業開始・完了の登録)の導入
  • 電子日報システムの導入
指標

加工進捗見える化率 / 納期遵守率

中期計画
↓
稼働率の見える化(IoT活用)
施策

各設備にIoTセンサーを設置し、稼働時間・停止時間・稼働回数・不良発生状況などのデータをリアルタイムで取得・蓄積します。

これらのデータをダッシュボード( BIツール)上で可視化し、各設備の稼働率や稼働状況を一目で確認できる仕組みを構築します。

収集したデータを分析し、停止要因の特定や生産効率の比較を行うことで、ボトルネックの改善や段取り時間の短縮など生産性向上に活用します。

システム導入
  • 各設備にIoTセンサー を設置し、稼働時間などのデータを自動取得する仕組み構築
  • BIツールの導入による稼働監視ダッシュボードの構築と稼働率などの分析・改善
指標

稼働データの取得率 / 設備稼働率の見える化率 / 設備稼働率の改善率

長期計画
↓
データドリブンなものづくり
施策

BIツールにより可視化・分析された加工進捗データや設備稼働データをAI / 機械学習に連携し、生産現場全体の最適化を図る仕組みを構築します。

AIが設備ごとの稼働率や滞留時間、加工負荷を学習し、ボトルネック工程の自動抽出や、最適な生産スケジュール・人員配置の提案を行います。また、過去のデータから異常パターンや停止要因を予測し、設備トラブルや納期遅延のリスクを事前に検知することで、安定稼働による設備稼働率の向上を図ります。

これにより、現場データに基づくAI最適化サイクルを確立し、効率的かつ柔軟な生産体制を構築します。

システム導入
  • AI / 機械学習を用いた最適な工程管理や異常検知予想や工具摩耗予知など製造最適化システムの導入
指標

労働生産性の向上 / 設備稼働率の改善率

2. 営業部門

顧客の声を、未来の戦略へ変える。

蓄積した営業データをもとに、顧客のニーズや市場の動きを可視化。
勘や経験だけに頼らず、データに裏づけられた提案で信頼関係を深め、成果へと結びつけます。
営業の一歩先を、DXが支えます。

現状の課題とDX導入背景

近年、顧客ニーズは多様化・高度化しており、ITの進展によって情報を即座に入手できる時代となりました。

そのため、営業活動には迅速かつ的確な提案力が求められています。

ところが当社の営業は、担当者ごとの経験や勘に依存しているため、属人化や情報共有の遅れが課題となっています。

これらの課題を解決し、売上拡大と顧客満足度の向上を実現するためにも、営業部門におけるDX推進は不可欠です。

DX戦略の具体的な取り組み

短期計画
↓
営業データベースの構築
施策

顧客情報や営業活動の結果、現場で収集した各種データを一元管理できる営業データベースを構築し、蓄積・閲覧を可能にします。

まずは営業関連の情報を着実に蓄積し、部門間で共有できる体制づくりを進めます。

これにより、顧客対応履歴や案件進捗の見える化を図り、営業・製造・設計など関連部門が同じ情報をもとに迅速な判断・対応ができる環境を整備します。

システム導入
  • CRMシステムの導入
指標

CRMシステムへのデータ入力率の向上

中期計画
↓
データ活用と営業活動の可視化
施策

短期的に整備した営業データ基盤を活用し、中期的には営業活動の可視化と提案力の向上を進めます。

蓄積した顧客情報や案件データをBIツールと連携し、案件進捗や売上予測をダッシュボードでリアルタイムに表示します。

営業担当・製品・地域ごとの受注傾向、成約率、失注理由、リピート率などを分析し、重点顧客や有望市場を明確化します。

これらの分析結果を営業会議や提案活動に活用することで、提案の精度向上と顧客対応スピードの改善を図り、成約率の向上につなげます。

システム導入
  • BIツールの導入
指標

案件成約率の向上 / 顧客対応リードタイム短縮率の改善

長期計画
↓
データドリブン型営業体制の確立
施策

長期的には、BIツールで得られた分析データをAI予測モデルで分析し、受注確度や需要変動を予測することで、データに基づいた営業判断を実現します。

また、デジタル提案支援システムを導入し、顧客ごとに最適な製品やサービスを自動レコメンドすることで、提案内容の精度とスピードを高めます。

これにより、営業活動の効率化と顧客満足度の向上を図り、新規取引率の向上、提案件数の増加、売上拡大につなげます。

システム導入
  • AI予測分析システム / デジタル提案支援システムなどの導入
指標

新規取引率の向上 / 提案件数の増加 / 売上の拡大

営業ナレッジの蓄積と継承
施策

営業ナレッジの蓄積と継承に向けて、成功事例や失敗事例、提案内容、顧客対応の記録などをデータ化し、ナレッジ共有プラットフォーム上で一元管理します。

これにより、営業担当者間で効果的な情報共有を行い、経験やノウハウを若手社員の教育に活用します。

また、蓄積されたナレッジを体系的に整理・検索できるようにすることで、誰でも再利用可能な知見として継承し、組織全体の提案力向上と取引率の向上につなげます。

システム導入
  • ナレッジ共有プラットフォームの構築と活用
指標

取引率の向上

3. 設計部門

設計力を、共有知で強くする。

設計における知識やノウハウをデジタルで蓄積し、
誰もが活用できる「設計ナレッジ」として共有。
属人的だった知恵をチームの力へと変え、効率的で精度の高い設計を実現します。

設計の未来は、知識をつなぎ合わせることから始まります。

現状の課題とDX導入背景

設計部門では、いくつかの課題を抱えています。

設計データは保管されているものの、検索や再利用が難しく、効率的な活用ができていません。また、設計変更の情報が製造や営業に遅れて伝わるケースもあります。

さらに、ベテラン設計者にノウハウが集中しており、若手が同じ水準に成長するまで時間がかかることも課題です。設計における勘や経験が体系化されておらず、設計スキルの標準化も十分に進んでいません。

一方で、顧客ニーズへの対応にはスピード感が求められており、設計業務の効率化は急務となっています。

こうした背景から、当社はDXを通じて設計データの活用やノウハウの継承を進め、より迅速で高品質な設計体制を目指しています。

DX戦略の具体的な取り組み

短期計画
↓
設計データ一元管理の仕組みの整備
施策

設計部門では、CADデータや図面データを一元管理できる仕組みを整備し、必要な情報を迅速に検索・活用できる体制を構築します。

社内サーバー上に図面データベースを構築し、過去設計データや改訂履歴を含めて統合管理することで、設計業務の効率化とミスの防止を図ります。

効果指標として、データ検索効率の改善(検索時間の短縮や再設計工数の削減)を設定し、運用効果を定量的に把握していきます。

システム導入
  • 社内サーバーにて図面データベースの構築
指標

図面データ検索効率の改善(検索時間の短縮)

中期計画
↓
設計データベースの活用
施策

設計部門では、まず短期的にCADデータや図面データを一元管理できる仕組みを整備し、設計情報を迅速に検索・活用できる体制を構築します。

その後、中期的には、蓄積された設計データを基盤として、過去の設計例や失敗事例、設計標準、FAQ、ノウハウなどを統合管理するナレッジデータベースを構築します。

データ検索には、全文検索に加えAI検索機能を導入し、類似設計の自動抽出や関連ドキュメントの提示を行うことで、設計検討の効率化と再利用性の向上を図ります。

これにより、設計の属人化を防ぎ、リードタイム短縮とミスの削減につなげるとともに、蓄積したナレッジを教育資料として活用し、設計者のスキル向上を促進します。

システム導入
  • 全文検索およびはAI高度検索のナレッジDBシステムの導入
指標

設計リードタイムの短縮 / 設計ミスの削減 

長期計画
↓
AI活用とデジタルツインを活用した設計体制の構築
施策

長期的には、過去の設計データやナレッジデータベースを活用したAI設計支援システムを導入し、部品選定や設計内容を自動で提案する仕組みを構築します。

これにより、初期設計段階の検討効率を高め、最適設計の実現と設計工数の削減を図ります。

さらに、蓄積した設計データを基にシミュレーションを行い、試作レスでの製品開発を推進することで、開発リードタイムの短縮と製品設計数の増加を目指します。

システム導入
  • AI設計支援システムの導入
指標

開発リードタイム短縮 / 製品設計数の増加

課題の把握と経営層の関与

当社は「DX推進指標」を活用して自己分析を行い、現状の課題を把握しています。

さらに、月1回の経営会議でDX推進やデジタル化に関する進捗と課題を確認し、戦略へ反映しています。

経営層が主体的に関与することで、スピード感を持ってDX戦略を前進させています。

情報セキュリティ方針

情報セキュリティへの取り組みとして、「SECURITY ACTION」制度で二つ星の自己宣言を行い、継続的な強化に努めています。

サイバーセキュリティに関する対策の方針として「情報セキュリティ基本方針」を策定し公表しております。

具体的な対策として、PCへのウィルス対策ソフトのインストールなどを実施しております。