いちばん上に戻る

トップページへ

テクニカルガイド

パンチング金型編

基礎編 1-7)被加工材の材質について(鉄鋼編)

パンチング金型編 基礎編

1-7)被加工材の材質について(鉄鋼編)

タレットパンチプレスでは、いろいろな材料(ワーク)を加工します。

板金加工に使用される材料は鉄鋼・非鉄様々で、また呼称もJIS・各メーカーにより異なります。

代表的な板金用材料

鉄鋼 冷間圧延鋼鈑(SPCC、SPCD、SPCE)
熱間圧延軟鋼鈑(SPHC、SPHD、SPHE)
電気亜鉛めっき鋼鈑(SECC、SEHC、SEHD、SEHE、SECE)
溶融亜鉛めっき鋼鈑(SGC、SGH)
ぶりき(SPB,SPTE,SPTH)
一般構造用圧延鋼材(SS400 等)
ステンレス鋼鈑(SUS304、SUS430 等)
ばね鋼(SUP)
非鉄 アルミニュウム(A1050、A5052、A2014 等)
伸銅品(C1100、C2600、C5212 等)
冷間圧延鋼板(SPC材)

常温に近い温度で圧延された板金用材料の代表的鋼材です。
価格も安価で加工性も良く、常温で圧延しているため表面がきれいな板材です。

通常SPCC(一般用)が多く使用されますが、絞り加工にて不具合が生じた場合は、SPCD(絞り用)、SPCE(深絞り用)をお勧めします。

SPCC ― 調質区分表面仕上げ

調質区分(S:標準調質 A:焼なましのまま 1:硬質 等)
表面仕上げ(D:ダル仕上げ B:ブライト仕上げ)

熱間圧延軟鋼板(SPH材)

高温で圧延された材料で、1.2~(14)mmまでの板厚があります。
抜きのクリアランスもSPC材より少し広くとる事をお勧めします。

(JIS G3131:1990 G3141:1990 より抜粋)

種類 記号 適用厚さ
(mm)
摘要 引張強さ(N/mm2 伸び( %)
冷間圧延鋼板 SPCC 0.4~3.2 一般用 270以上 32~39以上
SPCD 絞り用 270以上 35~41以上
SPCE 深絞り用 270以上 36~43以上
熱間圧延軟鋼板 SPHC 1.2~14 一般用 270以上 27~31以上
SPHD 絞り用 30~39以上
SPHE 1.2~ 6 深絞り用 31~41以上

<参考> 1N/mm2≒ 0.102kgf/mm2

電気亜鉛めっき鋼板(SEC材、SEH材)

冷間圧延鋼板や熱間圧延軟鋼板の原板に電気亜鉛めっきを施した材料で、家電・製品・自動車部品等に幅広く使用されています。

メ-カ-の呼称には、リバ-ジンク、コ-ベジンク、ジンコ-ト、ボンデ鋼板、スミジンク、ユニジンク等があります。

種類の記号 標準厚さ 摘要 原板の記号
SECC 0.4以上 3.2以下 一般用 SPCC
SECD 絞り用 SPCD
SECE 深絞り用 SPCE
SEHC 1.6以下 4.5以下 一般用 SPHC
SEHD 絞り用 SPHD
SEHE 深絞り用 SPHE
溶融亜鉛めっき鋼板(SGC材、SGH材)

冷間圧延鋼板や熱間圧延軟鋼板の原板に溶融亜鉛めっきを施した材料で、めっき層が厚いため耐食性が良く、外装建材・屋外用機器等に使用されています。

メ-カ-の呼称には、亜鉛鉄板、リバ-ゼット、ガルバエ-ス、シルバ-ジンク、タフジンク 等があります。
この他にもめっき鋼板(表面処理鋼板)は各メ-カ-が多くの商品を販売しており、その呼称も様々です。

ワンポイントアドバイス

めっき鋼板を加工する場合、めっきが剥離し金型内部(摺動部)に入り込み焼き付きの原因となる場合があります。

早めにメンテナンスを行い、めっき粉を除去することをお勧めします。

また、刃先の溶着が発生しやすいため、コ-ティング処理をお勧めします。

ステンレス鋼板(SUS材)

ステンレス鋼は耐食性に優れ、錆びにくいので多くの工業製品に使用されています。
但し、SPCCやSECC等と較べ加工性が悪く、価格も高い等の欠点もあります。

SUS304、SUS430等が代表的です。

種類の記号 引張強さ(N/mm2 伸び(%) 備考
SUS304 520 以上 40 以上 固溶化熱処理状態(オ-ステナイト系)
SUS430 450 以上 22 以上 焼なまし状態(フェライト系)

ワンポイントアドバイス

ステンレス鋼は加工性が悪いため、抜き加工においては加工油なしで長寿命のスーパードライパンチをお勧めします。

また、バ-リング等の成形加工には刃先のコ-ティングをお勧めします。

被加工材(ワ-ク)の材質・特性を知り、金型(材質、コ-ティング等)・加工条件(クリアランス等)の適切な選択を行うことは、
加工品の品質向上、加工コストの削減につながります。

各々の材料に対する抜きのクリアランスにつきましては、抜型のクリアランスについて(1-2)をご覧下さい。

(引用文献 JISハンドブック 鉄鋼:日本規格協会)

他の基礎編を見る

テクニカルガイド