パンチング金型編 実践編
2-7)追い抜き加工時のカジリ対策
追い抜き加工時やワーク端面を切り欠く場合には、図1.の様にパンチに偏荷重が働き、パンチとダイの干渉によって金型にカジリが発生しやすくなります。
図1. 追い抜き加工時の偏荷重によるカジリの発生
対策
- 1) 追い抜き加工時の追い抜き代は刃長の2/3以上を目安にとる(図2.参照)
図2. 追い抜き加工時の追い抜き代
- 2) 追い抜き順序を変える
通常の追い抜き加工順序
偏荷重のかかり難い加工順序
-
3)
ヒール付金型を使用する
パンチにヒール部を設ける事により偏荷重によるパンチのズレを防止します(図3.参照)
図3. ヒール付金型によるパンチのズレ防止
- 4) パンチとダイのクリアランスは、通常の抜き(単発抜き)よりも若干広く(0.1mm程度)設定される事をお勧めします
- 5) 追い抜き加工時のパンチシャー角は、「ルーフシャー角」 より 「Rシャー角」 や 「逆シャー角」 が有効です(図4.参照)
図4. パンチのシャー角
ルーフシャー角 | Rシャー角 | 逆シャー角 |
この他、カス上りに起因するカジリの発生やタレットの芯ズレや磨耗・金型の装着不良に起因する場合などがあります。